<シリーズ> 野田淳子と私
無実の叫びを紡ぎあげた曲「父へ」
伊賀カズミ(日本国民救援会)
かつてこのようなしなやかで柔軟な精神の持ち主を私は知らない。どんな対象物に接するときも、常に真摯に且つ誠実に、そして新鮮な感性で向き合う人。
今回、改めて彼女のそのしなやかな精神に触れ、益々ファンになりました。芦別事件の支援運動以来、長い間救援運動を一会員として支え続けてきた彼女に対し、昨年の一月新たなお願いをしました。
都島の大阪拘置所に一緒に行って欲しい、そして無実を訴え続けている阪原弘さんに面会して欲しい、何ともはや無謀で無遠慮なお願いでした。でも彼女はいやな顔ひとつせず、一度ならず足を運び、初対面の阪原さんを、その目と心でしっかりと包み込んでくれました。そしてその想いを自ら昇華させ、「父へ」という素敵な曲を創り上げてくれたのです。聞くたびに涙が、そして力が湧いてくる曲です。
「千羽鶴」「この夜を越えて」など彼女の代表作といわれる作品に共通するもの、それはまさしく彼女の豊かな感性。対象に接し、突き上げる心の奥深い叫びを、ひとつひとつ丹念に拾い集め、紡ぎ直して曲にする。何とも素敵な作業です。ただし、ご本人にとっては生みの苦しみに匹敵する作業でしょうが……。勝手ながら私としては彼女の生みの苦しみに立ち会ったものとして、今回の曲「父へ」をともに大切に育てていきたい、そして阪原さんを一日も早く家族のもとへ取り戻したい、同時にこんなにも感性豊かな「野田淳子」というプロシンガーの内面をもっと近くで観察してみたい、そんな欲求に駆られています。
蛇足ながら、思わぬ展開で救援会府本部の事務所旅行が3泊4日北京に決まり、まさかまさかの展開で淳子さんも同行、笑い溢れるオモロイ旅でした。淳子さんという人を身近で観察できた4日間、思ったとおりというか、それ以上というか、ほんとに純真無垢、子供のように柔らかな心と、今なおの向上心溢れる人柄に、ホント惚れちゃいました。
光一さん、ゴメンナサイ。これからも公私ともに淳子さんと深みにはまる予感ありです。ときには光一さんもご一緒に……どうぞよろしく! |