大成功を納めた東京公演
井筒百子
東京で初めての野田淳子リサイタルは大成功をおさめました。
しかし、ふたを開けてみるまでは、どうなるかわからない、ほとほと心細い状態でした。私も東京に来て、まだ2年、人脈も乏しく、淳子さんが東京出身であり、高校時代の同級生や電通時代の仲間がいるとはいえ、200名のホールを埋める自信はありませんでした。まず、東京では野田淳子の名前は意外に知られていませんでした。そのうえに、東京を拠点に活動する歌手たちがひしめき合っているのも、野田淳子の打ち出しを遠慮させる一因となりました。
そんな、困難な中でどうして、会場を一杯にすることができたのか、今もって不思議ですが、どうにか、格好をつけることができたのでほっとしています。
リサイタルの内容はおおむね好評でした。私の事務所の人たちもたくさん来てくれましたが、翌日感想を聞くと、すべての人が「とってもよかった。感動した」と語ってくれました。
また、全体の曲の構成で、金子みすゞの曲が多く、バランスが良くない、終幕の盛り上がりがない、一部、二部とも淳子さんがいすに腰掛けたままで単調になったなどの意見を述べてくれる人もあり、おおいに今後の参考になりました。
会場にはテノール歌手の佐藤光政さん、フォーク歌手のたかはしべんさん、橋本のぶよさん、などの顔も見え、びっくりしました。
今回のリサイタルは淳子さんが東京で活動の機会を増やすためのすばらしいデビューにすることができたのではないかと思います。 |